精神障害者になってからあきらめたこと

筆者が仕事上のプレッシャーと、親の死亡に伴う相続トラブル(訴訟)を契機にうつ病を発症・悪化してからすでに10年以上がたつが(それに加え、発達障害があることも最近判明したのだが)、うつ病をはじめとした精神疾患とその対処法が社会にまだ知られていないために偏見・差別に会い、仕事を退職に追い込まれたりと数多くの不利益を受けてきた。
身体障害者(肢体不自由など)と違って、外見上健常者と変わらないので、健常人と同じ仕事や社会生活のパフォーマンスを求められるが(勤怠など)、それができずに行き詰まるのであり、それゆえ社会からの優しい理解とサポートが精神障害者の活躍のためには必要なのである。(その意味で言えば、身体障害の内部障害も精神障害同様理解されがたく、厳しいのではないか)

そんな筆者の切なる思いを証明してくれるいい資料を、先日東京都庁にある売店で見つけた。障害者の生活実態に関する調査報告書で、平成25年に身体・知的・精神障害者にアンケート調査した障害者の生活に関する調査結果(東京都福祉保健基礎調査報告書:障害者の生活実態)が掲載されている。
この調査結果、広く社会に啓発されるべきだと考え、筆者にできる精神障害者に関する実態を自身の体験を交えて、本稿を含め、本ブログで紹介していきたい。

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初回は、掲題のように、精神障害者になってあきらめたことについて考えていきたい。

筆者が直面している問題は、再就職及び就労継続、そして結婚といったライフイベントの欠如である。
同調査報告書にも、障害のためにあきらめたり妥協したことに関する項目がある。回答項目は、不自由していることの中ではごく一部であろうが、重要なライフイベントを含んでいるので、この回答結果を参照するだけの意義は十分にあると考える。

障害のためにあきらめたり妥協したこと(複数回答)

 回答項目  総数  そううつ病・うつ病  発達障害(自閉症、学習障害など)
 進学  11.5%  7.6%  36.1%
 就職  39.7%  41.9%  44.4%
 異性との付き合い  22.3%  21.4%  33.3%
 結婚  26.1%  25.7%  38.9%
 出産・育児  13.6%  14.8%  19.4%
 人付き合い  32.2%  34.8%  50.0%
 近距離の外出  19.0%  23.3%  16.7%
 旅行や遠距離の外出  38.7%  42.9%  44.4%
 ファッションなどのおしゃれ  15.8%  20.0%  22.2%
スポーツ・文化活動 20.3% 26.2% 19.4%
その他 4.5% 5.2% 0.0%
特にない 21.4% 20.0% 5.6%
無回答 1.9% 0.0% 0.0%

(引用元:障害者の生活実態-平成25年度東京都福祉保健基礎調査報告書 p204 )

この調査項目は、もともとは年齢別、疾患別に細かく結果が出ているが、本稿には、筆者の症状に関連した上表の項目だけ抜粋して掲載したことをお断りする。また、総数は、精神障害者全体の結果である。

上表中、そううつ病・うつ病(気分障害)の患者の中には、相当数発達障害の患者が含まれると思われる。その逆もしかりである。

総数=精神障害者の平均値とすると、気分障害患者の割合が総数と大きくかき離れる項目はないのだが、発達障害の患者では、割合が総数と比べて特異な違いがみられる。
発達障害の患者では、特に進学と人付き合い、それと結婚の割合が総数と比べて高く、発達障害者の社会参加がしづらい実態が見えてくる。

以下は、筆者の個人的状況が入ってくるので、個人的な見解と思っていただきたい。
筆者が思い浮かぶのは、発達障害ゆえに異性との付き合い、結婚というところがほとんど経験なく欠けてしまい、就職や人付き合いも困ることがあったことは事実である。上表の結果と自身の特性・経験がほぼ一致する結果になっている。

特に、異性との交際、結婚という部分は、40代という年齢にもかかわらず、その経験がほぼないがゆえに、採用面接の場など社会から、筆者が人間としての価値がないと判断される要因になってしまっていると思う。結婚を妨げるのは、次の要因と考えている。

・経済的問題:特に男性が障害者の場合は、収入を得る手段が確保されないと家計を支えられない。
・優生学的問題:一般的に精神疾患にかかるのは遺伝ともいわれ、医療機関でも家族歴を必ず聞かれる。子供を設けた場合に子供が精神障害の素因を持ってしまうのではないかと思うと、例え結婚していても子作りを躊躇してしまう。

精神障害者の結婚が行政や社会から規制されるのはもってのほかだが、一当事者として考えれば結婚を自粛すべきとも考えてしまうのである。特に、精神障害者になってから後の結婚は、相手によほど理解がない限り厳しいだろうと考える。

次は、就職(再就職)である。日本においては、フルタイムの社員として就職しようとする場合、スキルや実力だけでは合格しにくく、これまでの経歴との総合判断となる。そこで、精神障害者にありがちな休養期間がブランクとして見えてしまい、そこから選考を突破しづらい。クローズで応募できるのは、経験上30代前半までで転職回数が少ない場合というのが実感だ。
筆者の場合は、経験社数と年齢からクローズはもはや無理で、障害をオープンとした活動となるが、可能性は健常者に比べて極端に狭くなる。また、収入も低くなるはずだ。

一度精神障害者になってしまうと、現状では就職や結婚のチャンスを失い、経済的死亡の状態に陥らざるを得ないのである。それでも生きていかなければならない。
まずは、精神障害・発達障害の社会への啓発が必要なのではないか。

(アイキャッチ画像出典:ぱくたそ https://www.pakutaso.com/userpolicy.html)