就労移行支援 利用者が知っておきたい報酬体系

筆者が就労移行支援のサービスを利用してから2か月が経過し、事業者が自治体に請求する報酬の金額をフィードバックされるようになってきた(この記事を執筆した平成27年当時のお話だが)。
自己負担額0円の利用者であれば、報酬について深く知っている必要はあまりないのだが、この就労移行支援はじめ障害福祉サービスの報酬を支払うのは国や自治体であり、元の財源は税金に違いない。
したがって、報酬の過大・不正請求をされるのは税金の無駄遣いとなってしまい、許されることではない。そんなわけで、一国民として事業者の監視ができるように、一利用者として、報酬体系について浅く大まかに知っておきたいものだ。ちょっと難しめのお話であるが、つきあっていただきたい。

その報酬体系については、利用する事業者が説明してくれるはずだ。特に、自己負担額が発生する利用者には、関心事かと思う(就労移行支援サービス費と呼ばれる)。

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就労移行支援サービスの報酬額・自己負担額

就労移行支援サービスの事業者が得られる報酬は、結論から言うと、1日当たり10,000円前後である。なお、これは、東京23区の場合で(1級地)、単位数単価が11.06円(平成27(2015)年)の場合であることをお断りしておく。単位数単価は毎年少しづつ見直される。所在する自治体と、年で金額が変動する。報酬の単位数と単価は、健康保険における医療費の点数と単価に似たものと考えればよいかと思う。

平成30(2018)年4月現在、就労移行支援の単位数単価は11.18円で(1級地)、若干引き上げられた。その分だけ、利用者が支払う自己負担額が上がることになる。

利用者が毎月支払う利用料金の自己負担分は、詳しくは別稿→ コチラをご覧いただきたいが、簡単には以下の通りである。

利用1日当たりの自己負担額=約10,000円の報酬の1割=1日当たり1,000円前後

また、自己負担額の毎月の上限は、次の通りである。

住民税均等割非課税(および生活保護受給者):自己負担0円
住民税所得割16万円未満:自己負担上限月額9,300円
住民税所得割16万円以上:自己負担上限月額37,200円

※自治体によって、この自己負担金額および通所の交通費の独自助成がある場合があるので、ご自身で窓口にご相談されたい。

就労移行支援サービスの報酬算定の方法

さて、本題の報酬体系だが、厚生労働省によって報酬が規定されていて、3年ごとに見直しがされる(最新の見直しは2018年に行われた)。就労移行支援サービスを始め、障害福祉サービス共通で、サービスごとの単位数に地域別の単価をかけて報酬金額が求められる。
したがって、サービスを受ける事業所(施設)によって金額にばらつきはなく、一律であることを覚えておきたい。

合計単位数X単位数単価(1級地11.18円)= 報酬金額

合計単位数のもとになるサービスの主な細目について、ざっと見てみたい。

(注意)以下の報酬点数は、2018年4月に見直しされたものである。通常3年に一度大きく見直しされ、変更されるので、大まかな参考としていただきたい。また本稿では、視覚障がい者向けの就労移行支援サービスについては言及しない。下記は、一般の就労移行支援事業所の報酬である。

– 就労移行支援サービス費(1):1,089単位/日(定員20人以下で、定着率5割以上の場合の最大値)

報酬のベースとなる費目で、利用定員によって単位数が異なるが、利用定員が多くなるほど単位数が下がるので、定員20名としている事業所が大半だと思う。
参考までに、同様のサービスである精神科デイケアの報酬点数よりも高い単位数である。就労移行支援サービスには就労支援が含まれるので当然である。

平成30年の報酬改定で、施設定員の他に、就労6か月間の定着率で報酬が算定されるようになって、事業所にとってはアメとムチのような体系になった。定員20人以下で定着率が5割以上の場合の報酬は1,089単位に引き上げられた一方で、定着率がゼロ=就労成功者がゼロの場合、500単位で、倍の差がある。
とくに精神障害者の就労定着を成功させるのは容易なことではないので、成果を出せている事業所に利用者が集まりやすくなる一方で、成果を出せない事業者にとっては経営が厳しくなると想像できる。

したがって、利用者目線で見た場合、利用費用の自己負担額が高い施設ほど、就労・定着実績を出せている施設で、経営も安定していて安心して利用できると大まかに判断できるかと思う。

– 定員超過利用減算:基本単位数の70%(3割減算)
– サービス提供職員欠如減算:基本単位数の70%(3割減算)もしくは50%(5割減算)

利用者の定員が多すぎたり、職員が不足している場合は報酬が減らされるので、適正化されるはずだ。

– 初期加算:30単位/日

サービスを利用したての利用者に対して、利用開始から30日間に関して算定できる項目。

– 欠席時対応加算:94単位/回

利用者が無断で欠席した場合に、電話でフォローアップしたときに、月に4回まで算定できる。

– 就労定着支援体制加算:状況に応じて、21~146単位/日

就労定着支援体制加算については、平成30年の改定で廃止された。就労後の定着支援にかかる報酬だったが、平成30年度に「就労定着支援」サービスの制度が開始し、サービス内容が就労移行支援とは分離されたので、利用者は就労定着支援の受給者証を別途申請して受け取り、定着支援のサービスを受けるようになった(就労後の定着支援にも自己負担額が発生することになる)。

利用者を一般就労させて、その職場に長く定着させた場合に算定できる報酬で、平成27年に厚生労働省によって手直しされた部分だ。厚生労働省が障害者を何とか就労させようとする意図が感じられるところだ。

– 福祉・介護職員処遇改善加算:所定単位の6.7%、4.9%、2.7%のいずれか
– 福祉・介護職員処遇改善特別加算:所定単位の0.9%

福祉系職員の待遇改善のための項目で、一定の要件を満たした場合に加算できる。どちらか一方が加算される(併給不可)。

本稿に報酬項目のすべてを記載することはできないので、詳しくは厚生労働省のサイトを参照されたい。

まとめ

以上の項目を合計して算出された単位数に単価をかけると、報酬金額を求められる。
単価は全国一律ではなく、物価水準を考慮した地域分けによって毎年決められている。

なお、就労移行支援における東京23区(1級地)の平成30年度の単価は、11.18円である。
健康保険の点数制度に似たものと考えればよいかと思う。

地域区分の詳細については、コチラを参照されたい。

(2018年4月 本文加筆・再構成)

(アイキャッチ画像出典:無料写真素材ActivePhotoStyle: http://activephotostyle.biz/)
(参考資料:厚生労働省サイト:http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12201000-Shakaiengokyokushougaihokenfukushibu-Kikakuka/27gaiyou03.pdf)
(参考資料:東京都国民健康保険団体連合会サイト:http://www.tokyo-kokuhoren.or.jp/welfare_office/support_request/revised_document.html)
(参考資料:障害者総合支援法事業者ハンドブック報酬編2014年版 中央法規 pp338-365)

コメント

  1. たくたく より:

    いぜん利用した事業所は
    出席してなくても
    ハローワークへの活動も記入させていました。

    加算あるのですか?

    • かきぶき より:

      施設外就労として算定されているかもしれませんね。
      事業所から毎月もらえるはずの明細書で加算があるかどうか確認してみてください。