就労後のサポートを受けるための「就労定着支援」サービスが始まった

筆者は就労移行支援サービス利用後、障害者枠での就労を果たしてから、定期的に定着支援を受けている。
定着支援とは、会社や生活上の問題や課題がないかどうか、支援者が障がいを持った当事者からヒアリングして、関係各所と調整してくれるサービスで、特に精神障害者の安定就労には有用な仕組みである。

当事者は就労生活上、何か困ったことがあったら支援者に相談して、環境調整をしてもらったり問題解決の働きかけをしてもらうことによって、より働きやすくなって会社に長く勤続できるようになる、という枠組みである。有用なサービスなので、ぜひ利用したいところである(会社によっては、就労の条件として定着支援を受けることと決めている場合もある)。

当事者の状況によって、就労移行支援や就労継続支援(A型・B型)などの就労系サービス提供者からのサポートをそのまま延長で受ける方法と、各自治体にある「障害者就業・生活支援センター」(「なかぽつ」とも呼ばれる機関)からのサポートを受ける方法がある。

従前、就労移行支援や就労継続支援(A型・B型)などの事業者によって、それらのサービスの延長として提供されてきた定着支援のサービスだが、平成30年4月からの障害福祉サービスの制度見直しによって、新たに「就労定着支援」という仕組みが始まって、定着支援が就労定着支援のサービスとして提供されるようになった。
従前、就労後6か月間受けていた定着支援のサービスが、状況によって最大3年間、独立したサービスとして定着支援を受けられるように見直しされたことになる。特に精神障害者が企業に定着することに、国が本気になって支援しようとする意図を強く感じる。

本稿では、障害福祉サービスとしての就労定着支援サービスに関して、その概要について触れていきたい。

就労定着支援サービスの対象者

就労移行支援や就労継続支援A型・B型などの就労系障害福祉サービスを利用してから一般企業等(特例子会社を含む)に就労した「働く障害者」が対象である(特に精神障害者や発達障がいのある人が利用者として想定されていると筆者はみる)。福祉的就労から一般就労に就労形態が変わると、環境が大きく変化して、体調面の問題や生活面の問題、人間関係の問題などが普通は出てくるものである。
それらの問題を、就労定着支援事業所のスタッフ(併設された就労移行支援事業所や就労継続支援事業所のスタッフの場合が多いと思われる)が定着支援として、企業に長く就労できるようにサポートするものである。

したがって、定着支援だけを受けたいと思って、新たに支給申請して受給者証を出してもらうものとは違うようである。
前述した障害者就業・生活支援センターに登録して定着支援のサポートを受けるのが本来の基本なのであるが、筆者も対象者がセンターに受け入れられないケースを散見してきた。そう考えると定着支援は誰でも受けられるものではないので、敷居が高いサービスなのかなとも思う。

※ 就労継続支援A型への就労は、一般就労ではないので、対象外。

就労定着支援サービスの主な内容

いわゆる「定着支援」のサービスを最大3年間提供するものである。定着支援は、前述したように、事業所のスタッフが就労先の企業や自宅などを月1回以上訪問して、面談を行って問題や課題をヒアリングして、解決を図って支援するものである。
利用者がその間就労継続できるように、サービス提供者は就労先の企業や医療機関、その他の関係機関と調整して、利用者が抱える就労面や生活面の課題を解決すべくサポートを行う。

従来は就労後原則6か月間の定着支援が実施されていたが、それがこの制度では最大3年間に延長してサポートされることになる。
就労に慣れてきて、定着支援の必要性がなくなったら、このサービスの利用が終了し、その後は自治体の障害者就業・生活支援センターに引き継がれるようである。

就労定着支援サービスの報酬体系の概要

従来は就労系障害福祉サービスの延長としての位置づけであったが、独立したサービスとして障害福祉サービスの受給者証が支給されたうえで報酬が支払われる形になった(自治体が支給認定をして報酬を支給する)。

– 就労定着支援サービス費:最大3,200単位/月

人月当たりの報酬が支払われる形であるが、利用者数が20名以下で、就労定着率が9割以上の場合の最大の報酬が3,200単位である。平成30年現在の報酬単価が、就労定着支援で東京23区などの1級地の場合、11.20円なので、月当たり35,840円の報酬で、利用者の負担額が、他の諸加算額を含めると、1割の負担で月4,000~5,000円程度になる計算である(負担上限額が適用されるので、世帯収入によっては負担額がゼロ円の場合がある。また自治体によっては独自の助成が設定される可能性もある)。

利用者の立場からは、従前就労後にはサービス利用しなかったものが、この制度ではサービスの利用が継続し、利用料金が発生し続けることになる。定着支援は価値あるものであるが、働く利用者が得る給料の中からこの料金を負担するというのが、いまいちピンとこないのは事実である。(雇用保険のように、就労企業と利用者の折半にするとかが合理的では。。。)

就労定着率が9割というのは、過去3年間の就労定着支援の総利用者数のうち、9割以上の利用者が就労継続できているということであるので、それだけの報酬を得るにはかなりハードルが高いかと思う。
就労定着支援事業所には、サービス管理責任者と就労定着支援員(スタッフ)がいて、定着支援のサービスが提供されるため、そのスタッフ数が足りない場合には報酬が減算される仕組みである。

なお、詳細な加算については本稿では挙げきれないので、各々関係機関に照会されたい。

まとめ

就労定着支援サービスは、これまでの就労系障害福祉サービスの延長線上にあるサービスで、独立したサービスとして定着支援を提供するサービスである。
就労している利用者にとっては、これからは、定着支援を受ける場合には、障害福祉サービスの受給者証が自治体から支給される必要があるし、その利用料金が発生することになる(負担上限額が適用されるが)。

ただし、料金がかかるからと言って、定着支援のサービスが利用されなくなるとしたら本末転倒なことだと思う。この制度で障害者の就労が促進されることによって得られる公益のほうが大きいからである。(その辺を国が考慮した結果のサービス開始だと思う)
当事者の皆さんには、就労後には積極的に利用するようにお勧めしたい。

【参考資料】
厚生労働省ウェブサイト

http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12201000-Shakaiengokyokushougaihokenfukushibu-Kikakuka/0000193396.pdf
http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12201000-Shakaiengokyokushougaihokenfukushibu-Kikakuka/0000202403.pdf
http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12201000-Shakaiengokyokushougaihokenfukushibu-Kikakuka/0000202406.pdf
http://www.mhlw.go.jp/bunya/shougaihoken/service/hutan1.html