就労定着支援サービス 利用開始までの流れ

2018年度からの障害者総合支援法(*)改正で始まった就労定着支援サービス。
就労「定着支援」とは、専ら就労移行支援や就労継続支援を利用していた当事者が一般就労を始めたときに、それらの支援機関から就労上のサポートを受けて、安定して就労継続ができるようにという枠組みである。
* 正式には、「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律」

従前は、一般就労に移行したのち、原則6か月間、定着支援のサポートが自動的に受けられたのだが、2018年度からの制度改定でそれぞれ別個のサービスとなり、サービスごとに居住している自治体から障害福祉サービスの受給者証を発行してもらい、利用する形となった。

本稿では、筆者が就労定着支援のサービスを実際に利用するに至った手続の流れをまとめたい。
ただし、筆者の場合は、制度改正前に就労移行支援の制度での定着支援を半年受けた後、支援が一旦切れてブランク期間があった後での改めての就労定着支援の利用であることをご留意いただきたい。
就労定着支援のサービス内容の詳細は、以下のページをご覧いただきたい。

手続窓口・手続の流れは、居住している自治体で違う

就労定着支援サービスは、就労移行支援や就労継続支援(A型・B型)サービスと同じ、就労系の障害福祉サービスに位置づけられる。
障害福祉サービスは自治体でも市区町村の所管なので、居住している市区町村の障害福祉課に利用の相談・申請を行う。

ただし、居住している自治体によっては、精神障害者に関しては保健所が窓口になっていることがある。(これは、精神障害者に関することが精神保健福祉法(**)で規定されていて、その管轄が保健所であるためとも考えられる。)
** 正式には、「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律」

就労定着支援サービスの利用相談・申請(障害福祉サービスとして)

就労定着支援のサービスを利用できるのは、実質的には就労移行支援もしくは就労継続支援の利用者で、一般就労に結びついて就労中の定着支援の対象になる人たちである。
今のところ、自力で就労に至った人は、就労定着支援を単独で利用するのは不可能なようである。(自論に過ぎないが、障がい者向けの人材紹介会社が就労定着支援事業者の役割をも担うと、自己開拓した当事者も定着支援の利用の恩恵に浴することができると思う。)

一般就労後半年間の定着支援を受けた後になお必要があって定着支援を引き続き受けたい場合には、この就労定着支援サービスの利用相談および申請を行ってサービスを受けることになる。
サービスを受けたい場合には、利用したい事業者(就労移行支援事業所・就労定着支援事業所)を決めたうえで市区町村の窓口に利用したい意思を伝える必要がある。

サービス等利用計画の作成(相談支援事業所利用/セルフプラン)

利用意思を伝えると、利用計画の作成をしたうえで、市区町村での審査会を通った後に利用が決定することになる。

このサービス等利用計画の作成は、本来であれば相談支援事業所を利用して作成してもらうのが原則なのであるが、筆者の場合は、今回セルフプランを立てることで進めた。(相談支援事業所が少ない地域の場合、セルフプランの作成を勧められるようである。)

セルフプランとは、自分で自分の利用計画を作成することであるが、自分の課題や目標を自分で考えて記入しなければならないので、保健師等の担当職員の援助がないと自力での作成は難しいと思う。

障害福祉サービス受給者証の交付

サービス等利用計画ほか、申請書などの申請書類一式(および関係機関が作成した参考書類一式)を市区町村に提出すると、審査会を経て、利用が決定した場合(認められた場合)、障害福祉サービス受給者証が交付される。渡された受給者証の有効期間は、決定から1年間である。

以下のページには、負担上限金額が記載されている。
生活保護受給者や住民税非課税の場合は自己負担額はゼロであり、それ以上の世帯収入のある場合は、区分ごとの自己負担額が設定されて記載される。

利用する事業所に記入してもらうページである。

就労定着支援事業者との利用契約

障害福祉サービス受給者証が交付されてから初めて就労定着支援サービス提供者との利用契約を行って、実際の利用開始となる。

筆者の場合、契約期間は受給者証の有効期限に合わせて1年間であるが、その後は自動更新ということになっている。

利用開始と同時に、受給者証に記載された自己負担金額を毎月支払うことになる。
肝心の自己負担額であるが、事業所によって報酬が大きくばらつきがあって、いくらと断言できないのだが、定員20人以下で就労定着率が90%以上の最大報酬が月3200単位で、他の加算を含めると大体月額40,000円となり、その1割で4,000円前後の自己負担額が発生する。

就労定着支援サービス利用途上のモニタリング

定着支援を実施していく中で、実施状況のモニタリングを行って、サービスの提供が適正かどうか観察していくことになる。

具体的には、利用者が一般就労している会社との環境調整が適度になされるかどうかで、このサービスの利用を継続するかどうかが判断されるかと思う。
会社で問題なく就労している限りは、このサービスを継続して受ける意味はあまりないと個人的には考える。

就労定着支援の報酬構造が月額パッケージで、定着率が大きいほど高い成果報酬なので、事業者は利用者のことを定着させる=辞めさせないことに過度に走ってしまうことが懸念される。その結果、利用者のキャリア形成の可能性が狭まってしまうこともあるのかなと考える。

また、報酬が月額のため、サービス提供=面談実施が月当たり1回で済んだ場合も数回実施した場合でも報酬が月額で同額であり、サービス提供者も労力の負荷が高く、利用者にとっても満足な支援を受けられないという懸念を持ってしまう。

(参考資料 References)
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12200000-Shakaiengokyokushougaihokenfukushibu/0000059663.pdf