障害者雇用状況の集計結果を読む(2018年)

2018(平成30)年6月1日現在の障害者雇用状況の集計結果が、2019年4月9日になってようやく厚生労働省から発表された。

これは、いわゆる「ロクイチ報告」と言われるもので、従前は毎年12月に発表されていたものである。中央省庁における障害者の水増し問題が報道された影響があったのか、平成最後の2018年の集計結果は翌年の4月まで持ち越された結果である。

2018年4月から民間企業においては法定雇用率がそれまでの2.0%から2.2%に上昇したのを受けて、障害者雇用で就労している人の数も大幅に増えた。三障害の総計では約53.5万人(*)の障がい者がオープンの障がい者枠で就労している。前年の49.6万人 (*) から約4万人が1年間で大幅に増えている。

そのうち、精神障がい者の数はカウントベースで約6.7万人、短時間労働者を考慮したおおよその実数が約7万人である。
* 人数は、正確にはカウント数で、人数としては概数となることを留意されたい。

本稿では、昨年に引き続き、この集計結果についての私なりの考察を、精神障がい者について簡潔に入れていきたい。

障害者のうち、手帳をとっている人の割合

障害者雇用で働く人のことを言及する前に、まずは実際に障がいのある人のどのくらいの割合の人が障害者手帳(療育手帳)を取得しているのか、2018年の障害者白書から見てみたい。

以下の表は、65歳未満の各障がい種別ごとに人数を落とし込んだものである。

種別障害者数手帳所持者割合(%)
身体108.1万108.2万 (2016年) 100%
知的79.4万79.5万 (2016年) 100%
精神228.4万59.4万 (2016年) 26%

(注)精神は、外来患者数(2014年)。
(出所)平成30年 障害者白書(内閣府)
https://www8.cao.go.jp/shougai/whitepaper/h30hakusho/zenbun/siryo_02.html

上表を見ると、身体と知的障がい者については手帳発行数がベースになっているが、精神障がい者は外来の患者数のうち、約26%の患者が障害者手帳を取得していることになる。
身体や知的の当事者の多くが手帳を取得していると思われる中、精神疾患の患者のうち手帳を取得している数が全体のわずか4分の1程度の少なさであることが驚きである。

障害者のうち、障害者雇用で就労している人の割合

引き続き、障害者雇用の枠で就労している人数を見てみたい。なお、精神障がいの場合は、障がいオープンで就労している人数のみで、障がいを開示しない(クローズド)で就労している割合を含まないことを留意されたい。

以下の表についても、0歳から64歳までのレンジで障がい種別ごとに割合を算出してみた。(出所の集計の関係上、18-64歳の生産年齢人口にプラスして0-17歳の児童の数も含んでいる。)

種別手帳所持者就労者数割合(%)
身体108.1万32.7万(2016年)30.2%
知的79.4万10.4万(2016年)13.1%
精神59.4万4.2万(2016年)7.1%

(出所)平成30年 障害者白書(内閣府)
https://www8.cao.go.jp/shougai/whitepaper/h30hakusho/zenbun/siryo_02.html

精神障害者の算出根拠がざっくりしたものになってしまったものの、2016年現在での障害者雇用で就労している人の割合が、精神でわずか7.1%に過ぎない。
最新の2018年の就労者数が6.7万人としても、その割合はおよそ11.3%に過ぎず、身体障がい者の30.2%には大きく水をあけられている。
当事者間での競争が激しくなることを意味するものの、全体としては精神障がい者が障害者雇用の枠で就労する余地が今後はありそうである。

なお、上記の数値はすべて民間企業の数であり、官公庁など公共部門での数が含まれていないことを留意すべきである。(なお、公共部門については三障害別の人数が公表されていないため、本稿で障がい種別ごとに考察することが不可能である。)

筆者の考察

これらの数値を見る限り、身体と知的障がいに分類される人に関しては、手帳をとったうえでの障がいオープン就労がほぼ全数であるのに対して、精神障がいの人ではオープンでの障害者雇用の就労者数がわずか11%程度であることから、障がいを開示しないで一般枠で就労をしている人の数が多く存在することが容易に推測できる。
精神疾患を持つ人たちが障がいをオープンにして社会生活することの困難さを物語る資料といえよう。

特例子会社に関しては、2018年度には全国に486社と大きく増加しているのがわかる。三障害全体で3.2万人就労しているうち、精神障害者は0.5万人の就労数である。
特例子会社は、知的障がい者の働く場であることが比較的言えよう。

2020年度以降は、民間における法定雇用率が2.3%に上昇することから、法定雇用率未達の企業数が増加することが見込まれ、障害者手帳を持った人たちの囲い込みがより激化することが考えられる。

精神障がいでは、所定労働時間就労できるかが大きな問題であり、当事者の状態によって雇用率に影響をもたらすといえるのが、精神障がい者のオープン就労を推進する上での課題になろうかと思う。

今回とは違う角度での考察も昨年分に関して行っているので、以下の投稿も併せてお読みいただきたい。
https://www.kibunhigh.net/blog/2017/12/17/employment_2017/