精神障がい当事者のピア就労支援はありかなしか ~ブログ運営5年目に寄せて~

本ブログの運営がちょうど5年目に入ったのだが、5年目の最初の話題にふさわしいトピックとして、「精神・発達障がいの当事者が就労支援をピアでの職務として事業所において行うことの是非」ということがひょんなことで発生したので、本稿を起こしたい。

Twitterでの投票を思いついた経緯

筆者である私かきぶきは、2019年5月で今いる企業にちょうど勤続2年を迎えたところで(障がいオープン就労)、ちょうどキャリアの幅を広げたいと思っているタイミングだ。そこで、障がい者枠のオープン求人、一般枠のクローズド求人をいろいろ見て、めぼしい求人に応募しても、あいにく選考に通らないところである。

一方、自分自身当事者会の運営をしていて、セルフヘルプやピアサポートに興味があることから、就労支援員の仕事に使命感とやりがいを感じるのが正直なところである。そこで、出来心から「エン転職」上で、一般枠の就労支援職の求人を探したら、大手どころのある会社の求人が3社検索された。それらの求人がいずれも未経験、ブランクOKとあったので、思わず応募ボタンをぽちっと押してしまったのが、今回の記事の端緒である。

実際にクローズで3社受けてみて、書類選考でNGだったのが2社、面接を受けさせてくれた会社が1社あったが、圧迫寸前の厳しい面接であっけなく撃沈した。

そこで、Twitterのフォロワーさまに、「精神疾患の当事者が就労支援職として、同じ当事者の支援をピアサポートとして行うのはありだと思うか」どうかを尋ねてみようとふと思いついたわけである。

投票の内容・結果

Twitter上で以下投票のツイートを投下したのが、2019年6月1日。
(ツイートが見られない場合(鍵かけ時)、本稿文末の画像を参照していただきたい。)

「精神疾患の当事者が支援職として、同じ当事者の支援をピアサポートとして行うのは、ありだと思いますか? ご意見をお聞かせください。当事者だけでなく、支援者の方のご意見も大歓迎です。」

筆者が想像した以上に多くの反響を得られて、最終的に606票の回答をいただくことができた。

・当事者が支援を行う形が「あり」との回答が79%(478票)
・当事者の支援は「なし」、その他の回答が21%(128票)

コメントも、合計で47件いただくことができた。

いただいたコメントの紹介および筆者の所感

多くのコメントをいただいた中で思うのが、当事者の他にも実際に支援をされている方からのコメントも多くいただけたので、客観的な評価・分析ができるということである。

当事者自身でのピアサポートは基本ありなのだが、筆者が感じたことは、「条件付きでのあり」ということである。

「条件付き」とは、支援者として報酬(給与)を得ている以上、障がいのあるなし関係なく、プロとして業務を行うこと、勤怠が良くて、利用者の模範になれることであろうか。

以下に、コメントをいただいた方のお名前が分からないように、コメントを抜粋しての掲載をお許しいただきたい(鍵アカの方については掲載から除外した)。

「あり」のコメント

有りだと思います。
今も人の話を聞く仕事なので支援するのに賛成です。
結構企業内でも鬱手前の方もいらっしゃいますが
身体も精神もその前の段階でお話を聞いたり受診を勧めたり、疾患を負ってしまってからも支援していけたらいいですね

ありだと思います。
就労支援「職」じゃなくても、当事者として、同僚としてお話していくのも、僕としては目指したいところです。

アリだと思うし実際そうやって支援職として働いてるかたを知ってますよ〜

私は当事者である支援者を3名知っていますが、困ったこともまあまあありましたが、その生き方に勇気づけられましたし、当事者としての視点に助けられたこともありました。当事者が支援者になるメリットはあります!

実際に働いてます。
当事者としての考え方や具体的な対策がわかるので、重宝してもらってます

あくまで私の保護者(支援員の姉さん)の意見なのですが、当事者のピアできる人は重宝されるし、AIに置き換わらない職種なので、これからニーズ増加するはずと言っていました
メンタルさえ引きずられければ、とてもやりがいのあるお仕事だと思います

全然ありだと思います。
実際に私が通っている就労支援事業所にも当事者の方がいるそうです。他のオフィスなのでどういった経緯でかはわからないですが実際に通われていた方のようです。

条件付きで「あり」のコメント

サービス利用者からそこのサービス提供側のスタッフになるという話、たまに聞きますけどね…
きちんと仕事をこなせるならば(パフォーマンスを継続して出せるならば)アリだと思います。

支援本人がある程度見本や規範になれるくらいに治ってるならいいと思います。

基本的に賛成です!
当事者だから分かり合える部分はあると思います。
一方で不安定な体調はどうしてもあると思います。
大切な面接や就職後の定着支援の面談など大丈夫なのかという不安はあります。
利用者にとっては人生の大事な場面なので。
結論としては賛成ですし増えて欲しいと思います♪

ありだとは思いますが
当事者であるかどうかよりも、支援職としての実力の方が大切と思います。
寄り添えるかどうかも含めて。

結局は自分に向いてるか向いてないかだと思いますよ!
向いてると思ってやっていても、周りに引っ張られて自分の体調が悪化する場合もありましたし(実際にそうでした)

札幌のある事業所では、「ピアサポーター」として雇用契約を結んでいる人もいます。ただし非正規の不定期のようです。
また、わたしも非正規ではありましたが職業指導の方で支援員をやっていました。
正規雇用だと間口が狭いのかもしれませんね。

企業実習を行なった上で適性を見てもらって採用されたと思います。
健常者でも障害者でも支援職には適性が必要です。人によりけりですが、企業実習は必要と思います

うちの施設で利用者→支援員になった人がいますが、
利用者に対し急に上から目線、悪印象で一年半程で退職、又、元々休みがちだったのに半ば強引に支援員になり1ヶ月ほどで退職した人がいます。
印象良く働いている方もいます。
体調を崩さない事と気質がきちんとしてるのが最低条件だと思います。

他の立場(福祉系資格保持者・一般企業経験者・時には保護者等)と連携すること、調子の良い悪い両方を隠さないこと、時には自身の実例を挙げてリカバリーをサポートすること…を心がける支援者さんに支えてもらえたら個人的に嬉しいです。

「なし」・どちらともいえないコメント

その人の適正や相性次第かなと思います。
絶対に良いともダメとも言い切れない。

当事者目線を活かせるか、オープンで仕事するかどうかは内容によるかなぁと思います。

なしだと思います。支援をする側にピアがいるということは、支援される側がする側に取り込まれるということで、構造的におかしいと思います。情報もダダ漏れになりますし。

その仕事につけるかどうかは歳と経験値によっても変わることは確か。なんも福祉経験ないのにいきなり就労相談の窓口に立てる確率は低い。現場経験が少ないから。

あり、と言いたいところですが、やはり、なし。に意見しました。
就労支援となると、デイケアや居場所などとは違い、理解や共感、支え以上に当事者を社会の厳しい荒波に導く明確なビジョンを持っていて欲しい。
支援者自身も荒波を乗りこなしていなければ説得力がないし、その意味でピアは脆い。

私は支援する側もありだと思いますが、自分が支援される側に立つと複雑な気持ちになります。

考察

就労支援の仕事は、当事者に寄り添いつつ、ただでさえ厳しい障がい者の一般就労に導かなければならないので、タフなものに違いない。

特に、精神・発達障がい者の就労については、今日現在でも企業が受け入れを避けたがる状況があるという意見もあって、就労先・実習先の開拓が大変厳しい仕事だと思われる。一般就労に導いた人数で国からの報酬も決まるので、事業所にとっては厳しいことは間違いない。

そのためには、支援者自身が当事者として寄り添うだけではなく、厳しい社会に導くためのビジョンを持っていることが必要なのではないかと思う(筆者もそこまでのビジョンを持てないでいるのだが)。

その意味では、今回応募した3社の事業所とも未経験可(第二新卒歓迎)として求人を出していたのは、少々浅はかであるとも考えてしまう。一般企業の豊富な就労経験も必要なはずだからである。

また、就労移行支援事業所だけではなく、就労継続支援事業所(A型作業所・B型作業所)の就労支援員として従事する可能性もあり得る。

就労支援職という福祉職は、下積みから実務を経験して資格を取得し、ステップアップする性格がある。キャリアパスが分かりやすいので、多職種から見るとやりがいがあって魅力的に見える。福祉業界に一度潜り込めたらいいのだが、資格が応募要件だったりと、入るまでが狭き門で、間口が狭いのが心残りなことである。

投稿内容の画像イメージ

Twitterを鍵かけしているときには、以下の画像を参照いただきたい。