オンラインコミュニティー「かきぶき庵」運営の苦悩~有料化の決断まで~

筆者かきぶきが、主に一般就労ではたらく精神疾患・発達障がい当事者が集うオンラインコミュニティー(当事者会)「かきぶき庵」を2018年9月に立ち上げてから、今日で1年2か月が経過した。

筆者が知り得るところ、このような当事者会は日本では他にはなく、「かきぶき庵」が現在でも唯一無二の存在かと思うのだが、これまで順調満帆だったわけではなかった。

本稿では、オンラインコミュニティーの運営の難しさと、管理人かきぶきが抱えた苦悩を吐き出してゆきたい。

何とか無料で場を広く提供したいと思ったが

はたらく当事者が情報交換したり、悩みを相談したりしたいという人のニーズを拾うために、広くメンバーを募集して規模を大きくしたい一方、はたらく上での悩み=会社での業務情報の漏洩、秘密を守るセキュリティーの確保も課題なだけに、そのバランスをどのように確保しようかとずっと悩んできた。

その解決策として、オンラインビデオ会議ソリューションのZOOMのミーティングIDを公開するのではなく、Slackというコミュニケーションツールと連携してZOOMを利用するという形態をとった。それは、誰でも好きな時に入れればいいのではなく、メンバー制にする必要があり、承認作業の負担があった。

このようなコミュニティーが他に存在しないし、自分がコミュニティーを運営した経験もなく、専門家が監修しているわけではないので、当初は無料でコミュニティーの運営を始めた。他にも、無料で自由に参加できる大きなコミュニティーが当時はあって、そちらにニーズとユーザーが流れていたこともある。

タダ乗りする連中がいる

無料で運営すると、頭を抱えるのが、おいしいところだけをもっていってしまうタダ乗りする人たちの対応。

かきぶき庵でも、Twitterでメンバーを募集してSlackで情報交換しているのだが、運営開始時点ではポリシーが確立しておらず、誰にでもSlackの閲覧を許してしまったために、Slackの投稿内容が外部にダダ洩れ状態で、メンバーリストを他のコミュニティーの営業に利用された形跡もあった。

また、当初は物珍しさで多くの人が体験しに来てくれるのだが、コミュニティーにはどうしても合う合わないがあって、なかなかメンバーが定着しないのが悩みどころだった。人が離れて行ってしまうというのは主催者にとっては大きな苦悩で、個人事業主がお店を経営するような困難さがあることを知った。

Polcaで「支援」を募った

それでも、オンラインコミュニティーを運営していくにあたって、システムにかかる費用が発生するので、無料運営では自分が持ち出すばかりである。

筆者が生活の自立に困るほどの経済状況だったこともあって、それだけの支出をする余裕もなかったので、運営費用を支援に頼ることにした。支援には、「Polca」(ポルカ)というシステムを利用して、匿名ベースで決済できた。

コミュニティーを理解してくれる人たちは確実に存在していて、その先1年間運営していくのに十分な支援をいただくことができた。

運営2年目に入ったところで

状況が大きく変化した。立ち上げからちょうど1年経った2019年9月に筆者が他の会社に転職して、コミュニティーの運営に心砕できる状況ではなくなってしまった。

一方で、「かきぶき庵」がちょうど2年目に入る2019年9月に、NPO法人コンボの「こころの元気プラス」のコラムにかきぶき庵の活動が紹介されて、一時的に入会の問い合わせが増えた。

それまでしばらく新規メンバーの公募を控えていたのだが、当該コラムの掲載にあわせて公募を開始しようとした。

かきぶき庵は、少人数でじっくりと話をする場である。いきなりメンバーを増やして場の雰囲気を変化させないために、入会希望者の入室を管理をする必要があったのだが、それが負担になってパンクしてしまった。

メンバー管理の負荷と、ZOOM有料プランをとっていた経済的な負荷のダブルパンチ。

それに輪をかけて悩まされたのが、かきぶき庵に登録だけしてZOOMには全く参加しない「幽霊部員」の存在。都合や体調が悪くて参加できないのは想定の範囲内であるが、半年以上参加しないメンバーが大半になってしまった現状があった。運営者としては、ただ単に在籍していたいというのは迷惑千万なお話なのである。

ついにブチ切れてしまった!

2019年10月、転職2か月目で新しい仕事を覚えるのに必死で、会社でも早急に成果を出すようにプレッシャーをかけられていたタイミングだった。

新しいメンバーが数名初参加のウェイティングに入っていたが、その調整をもうやっていられなくなって、次の定例会を実施できる気力が失われてしまった。

10月はほとんど毎日雨が降っていて、台風や大雨の災害が集中したタイミング。それで自分のメンタルをやられていたのが悪い材料でもあって、もうやっていられない状況に。

さあ、これからどうしよう

ついに、かきぶき庵を休会にしようと決意してメンバーに告知したのだが、ありがたいことに強い結束ができていて、続けてほしいという慰留を受けた。(これがメンタルには尚更きつかった。)

メンタルがきつくて、季節性のうつ症状が出ている時期で、この苦しみを会社の健保が契約しているEAPのカウンセリング電話に投げかけてみた。

悩みを一通り話したところで言われたのが、1年間よく頑張ったけど、コミュニティーの運営は難しいもので、ネットの世界では尚更だということ。

会の運営の役割を他のメンバーが持ち回りで担える可能性も探ったが、オンライン当事者会の宿命が、ホストが一人で回さないといけないというところで、とても孤独感の強いところである。

運営ルールはしっかり整備してあるものの、役割分担はどうにもならない。さあ、これからどうしようか。。。

結局有料化で報酬を受け取るしかないという結論に

メンバーのコミュニティーへのコミットメントが薄くなるという特性上、運営者が何らかの報酬を得て、仕事としてコミュニティーを運営をせざるを得ないという結論になった。

会場を確保して実施するリアルの当事者会でも必ず参加費を支払っているのに、オンラインの当事者会が無料というのも、利用者にとっては都合がよすぎるお話である。

同時に、利用規約の遵守の誓約をしない非現役メンバーの整理を行った。

一過性のイベントならば無料で対応できることもあるが、長く運営を続けていくには、良くも悪くもビジネスベースにやらないと続かないものだと学びを得た。

コミットメントの対価として少額でもお金を支払ってもらって、運営者としての心のバランスを確保するしかないようである。

かきぶき庵のご紹介

かきぶき庵 | 精神・発達当事者のためのオンラインコミュニティー(当事者会)「かきぶき庵」のウェブサイトです。
精神・発達当事者のためのオンラインコミュニティー(当事者会)「かきぶき庵」のウェブサイトです。「かきぶき庵」は、双極性障がいと自閉症スペクトラム障がい(ASD)の当事者である管理人のかきぶきが2018年9月に立ち上げた、オンライン上の会員制自助グループ(当事者会)です。

コメント

  1. 発達障害者当事者 より:

    オンラインコミュニティーの運営お疲れ様でした。
    身体を壊してまでやることは無いと思います。
    それよりも仕事がきちんとできることが最優先です。

    精神(発達)障害者はちょっとしたことで体調を崩しやすく、
    一度休職をすると復帰はかなり難しくなり、
    企業によってはリワーク等の復職プログラムの通所を義務付けられますが、
    精神(発達)障害者にはかなり厳しい内容であり、
    結局は退職せざるを得なくなってしまいます。

    特にオンラインコミュニティー等ネットの世界には不届き者もいるので、
    そういったことに対処するのは健常者でもかなりの負担になると思います。

    オンラインコミュニティーを頼りにしている人もいると思われるので、
    場合によっては、信頼できる人に運営をお譲りすることも
    自分自身を守るためには必要かと思われます。

    今は自分の体を大切にして下さい。